四 ぼくが溶けた

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 その缶ジュースをくれるのでもいいぜ、とケンちゃんは近寄ってきた。ぼくは思わず身じろぎし、缶をごとんと足元に落としてしまった。 「ばか、なにやってんだ! もったいねえ」  ケンちゃんは飛びつくように缶を拾い上げた。中身はほとんどコンクリートにぶちまけられている。苛立ったようにぼくを睨み上げたその目は、子どもとは思えない暗い光を宿していた。 「猫、これだけじゃねえよな? まだ持ってるだろ?」  ぼくが黙り込んでいると、ケンちゃんは「来いよ」と、くるりと背を向けて歩き出した。ぼくはその後をとぼとぼとついてゆく。  ケンちゃんと連れ立って歩くなんて夢のようなはずなのに、まるで引っ立てられた罪人のような気持ちだった。
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