四 ぼくが溶けた

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 ぼくは地面に突き倒された。後ろ頭をコンクリートに思い切り打ちつけ、目の前が真っ白になった。その一瞬の間にケンちゃんはぼくの胸に馬乗りになり、額を地面に押し付けた。 「こうでもしなきゃ、おまえ、おれが兄ちゃんをやったって言いつけるだろ」 「言わないよ! 誰にも言わない!!」  口に指が突っ込まれ、ペットボトルの飲み口がこじ入れられた。  ぬるぬるとした液体が口に注ぎ込まれてゆく。  変化はあっという間に訪れた。 (ああ、身体が溶けてゆく)  視界の端に、ぼくのペットボトルを拾うケンちゃんの姿が映った。  ケンちゃんは巨人のように大きかった。
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