プロローグ SIDE:勇元 心

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 そんなことを思い出しながら、僕は今日一日の授業を終えて凝り固まった体をほぐすべく、大きく伸びをする。 (そうだ、せっかく喫茶店に来てるんだしお茶とケーキでも頼んで、もう少しゆっくりしていこう)  そう考えた僕は再びブレホを再起動させて、通信を介して店側に追加注文を行い、のんびりと物思いにふけることにした。  ◇◇◇  先日の入学式は、校長先生を始めとした学校関係者の挨拶だけでほぼ終わり、拍子抜けするほどあっさり解散となった。  都会では通信教育全盛となっている今の時代においては入学式とて、会場を借りて集まること自体、時代錯誤で馬鹿らしいという論調が正直根強い。  それでも式場で行うのは、様々なしがらみがあったり、伝統や格式を声高に叫ぶ教育関係者の派閥を無視できないからだそうだ。  個人的には、実利や効率を無視した伝統なんて馬鹿馬鹿しいと思う。  以前ならばこう断言することも無かっただろうけれど、今なら断言できる。  ……そう、あの田舎での出来事を思えば……。     
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