プロローグ SIDE:勇元 心

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 地元出身でないという理由だけで、執拗にいじめ抜いてくる生徒たち。  そのいじめに見て見ぬふりをするどころか、時には進んで加担すら行い、自分達の教育こそが正しいと主張する高圧的な教師たち。  授業では全て、現代では貴重資源であるはずの植物製の紙で製本されたテキストを惜しげもなく使い、あらかじめ予習してきたことの確認だけで終わる。  授業において教師が生徒へと丁寧に知識を伝えたり、質問に応えたりするといったことは一切ない。  個々人の習熟度に合わせて指導を行うなんて、夢のまた夢だ。  更に、ブレホはもちろんのこと、機械製の電卓や電子辞書すらも使用を認められない。  僕から見れば、次世代に知識を継承させる気があるのかと言いたくなるような教師の怠慢だ。  なのに、向こうではこのやり方に付いてこれない奴が悪い、付いていけない落ちこぼれなど知ったことではないという風潮が、教師・生徒・親・地元民全てに根付いていた。  校内行事も異様としか言いようが無かった。  体育祭では軍隊のような行進や、過酷な組体操、集団縄跳びを強制された。  誰かが動きを見出したり失敗したりすれば、連帯責任の名の元に全員にペナルティが与えられる。     
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