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「会長! 副会長! お二人も作業を進めてください! 終わりません!」
「~♪」
「……付き合いきれねえ。弁当だけ貰って午後からでもバイトに行くか……?」
生徒会長の肝入りで集められたメンバーによるワークショップ。
そこに無理矢理参加させられ、実際の運営光景を見て僕が思ったことはただ一つであった。
「……帰りたい……」
◇◇◇
――23XX年 4月6日(月)――
「おはよう、勇元君」
「おはようございます、新井さん」
「今日から学園生活の始まりだからね。しっかり朝食をとっていきなよ」
「はい、ありがとうございます」
僕、【勇元 心(ゆうもと しん)】は今、故郷の三之道市で親元を離れ、下宿生活を送っている。
両親は転勤先の市外で今も仕事に打ち込んでいることだろう。
新井さんは学生向けの下宿を営んでおり、僕も今ここでお世話になっている。
食事も毎回新井さんが学生向けに作っており、今日の朝食も彼女が作った卵焼きとウィンナー、大根となめ茸の味噌汁、ちぎりレタスとミニトマトを添えたサラダ、そしておかわり自由の紅茶という豪華なラインナップだ。
仮に僕が一人暮らしだったら、朝食にこれら全部を作る気には絶対にならないと思う。
「勇元君、入学式の準備は大丈夫かい?」
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