プロローグ SIDE:勇元 心

8/27
前へ
/27ページ
次へ
 今では小児期のうちに脳内へとヨクトサイズのチップを埋め込んでおくことで、旧世紀でいうところのパーソナルコンピュータやスマートフォンに相当する機能を、多くの一般人が身体一つで扱えるようになった。  このヨクトチップのコンピュータは旧世紀の技術になぞらえてブレインフォン、通称ブレホと呼ばれて浸透するようになった。  このブレホの普及が通信教育を大きく普及させる要因になった……と僕は思っている。 「はい、送信終わり!」 「サンキュー。ってそうそう、アプリじゃない方の噂って聞いた?」 「何それ知らなーい!」 「何かここ最近、原因不明の病気で目を覚まさない人が、若者中心に増えてるんだって」 「何ソレ……普通に怖いんだけど……」 「あれ、こういう話嫌いだった?」 「だって笑えないしー」  意識を思考から戻すと、女の子達の噂話は続いていた。  結局、彼女らは会場近くの駅に着くまで喋り通しだった。  よくあそこまで喋り倒せるなあと感心するよ……。  こうして僕の高校生活は何事もなく幕を開けた。
/27ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加