僕らが思い出すその日のために

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 まっすぐで迷いのない言葉。確信に満ちた表情。  敦人なら当ててくれるのではないかという期待が現実になった状況をかみしめながら、遥希はゆっくりと瞳を見開いた。  気付いたのは僕の名前だけ? と心の中で聞いてみる。  ん? と覗き込んできた敦人の好奇心いっぱいの顔が遥希の丸い瞳に映り込む。窓からの光を一杯に受けた敦人の輪郭が逆光で白く煙るように光っていて、まっすぐ見ているのがつらかった。  何も言わずに目を反らした遥希に敦人は戸惑って瞬きした。恥ずかしそうに眉が下がり、カードを持つ手の位置も一緒に下がってゆく。 「俺の勘違い?」  嬉しさと恥ずかしさがないまぜになった気持ちがバレないように、遥希は一つ大きく息を吸って笑顔を作った。 「違うよ、あたり。すごいな、分かったんだ。」  敦人の顔がぱっと輝いた。やった、と相好をくずし、階段を降りて遥希の隣に並ぶ。同じくらいの背、数か月違いの同い年。同じ教室で過ごす時間はあと数週間しかない同級生。 「俺が推理小説好きなの知ってた?」  知ってる。そっちこそ、僕が中学の時図書係だったって知らないだろ? 「めちゃくちゃ真剣に考えたのに全然分からなくてさ、ハルが『成績優秀で余裕のあるヤツ(・・)』って言ったとき、ひっかかかったんだ。」 「そう、なんだ。」  これじゃまるで自分がそう(・・)だと言ってるみたいだと、内心焦りながらモゴモゴと返事をした。こんなに近くで敦人の顔を見るのは久しぶりだ。
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