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「悪い、足立。抜ける…これ」 多分お金を出しているのか… 私は下を向いていてイマイチ把握はできていないけど 奥の方から 「宇奈月さん!帰っちゃうんですか?」 「何で!?」 と、悲鳴に近い声が聞こえる。 私は左肘をグッと持ち上げられ立たされて 「じゃあ、悪いな」と言う先輩に引き寄せられ一緒に部屋を出る マコちゃんの「鈴?」という声と 「誰ですかその女!」という失礼な声が耳に届いたが 黙ったまま店も出た。 いつの間にか手を繋がれている 恋人つなぎだ 「…先輩」 「少し話がしたい」 「今更…」 不意に先輩が立ち止まり私を見た。 あ、身長も伸びてる… 「鈴にとっては、もう今更なの?」 「え?」 「…俺は鈴の事を忘れた事はなかったよ」 「…」ずるい。
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