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何も考えられなかった。 ずっと忘れる事しか考えてなかった。 もう2度と会う事はないと思っていたから。 家に帰っても 学校に行っても マコちゃんにあの日の事を聞かれても 他のみんなにいろいろ聞かれても 曖昧に笑うだけ…何も答えられずにいた。 自分だって分からない。 どうなるかも どうしたいかも それでも… 先輩の事を一目見て分からなくても 思い出のカケラがポロポロと私を過去に惹き付ける 先輩の見た目も変わったけれど 印象もだいぶ変わったと思う 儚げな感じがなくなって 精悍な感じがした。 でも、鈴と私を呼ぶ声や 繋いだ手の強さ ちょっとした時にみせる笑顔など 忘れたくても忘れられなかった先輩のカケラそのものだった。
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