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不思議だったのは その頃からたまに先輩に「俺の名前知ってる?」とか 「名前忘れてないか?」と、確認されたこと。 直接名前を呼んで欲しいと言われたわけではないし 恥ずかしさから私はいつも「先輩」としか呼ばなかったので 不安にさせていたのかも知れない。 夏休みの終わり頃勇気を出して先輩を名前で呼んだ私を 時が止まったかのような長い時間見つめられた後 静かに顔が近づいて 「鈴が好きだよ」とキスしてくれた。 私は好きだよと言われた事と もちろんキスされたことも そして優しいまなざしに 心臓が飛び出すんじゃないかと胸を押さえた。
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