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「チョコかと思ったら…離婚届だった。」
2月14日。お弁当と一緒に箱を持たされた。重厚でしっかりとした茶色のブランド感あふれる箱。今年も奮発してくれたようだ。甘い物好きな俺にとって、こんなに嬉しいイベントは無い。
ランチ終わり、楽しみに箱を開けると、そこには、手紙。そして…離婚届? 慌てて手紙を読む。
「3月14日までに記入してください。」
とだけ書かれていた。妻は何を思ったのだろう。突然過ぎる。昨日までごくごく普通だったじゃないか。ともかく別れたくない。ただただあたふたしているうちに、昼休みが終わってしまった。何も考えがまとまらないまま、終業時刻を迎え、帰宅する事になった。
「ただいま。」
まるで一人暮らしの時に戻ったかのような、一方通行な音声。返事は無い。妻に近づいてもう一度言ってみる。無視された。そしてそそくさと離れていった。話もしてもらえないようだ。別れたくない。ならば、やる事は決まっている。家事だ。最近任せきりでちっとも手伝っていない。仕事ばかりになっていた。掃除をしよう。床掃除でもしよう。
「私もうとっくにパートから帰って掃除終わらせてるんだけど。」
腕組みをし
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