Go west

日曜日。

初夏の空は、透き通る青一色。

だけれど、僕は、急ぎの仕事のため、鞄を抱えて歩き続けていて…そして、ひどく疲れていて…。

すると。

西の空の上方。

…虹？

雨の気配なんて、全く無いのに。
でも…そう言えば。
この町の空には、時々、こんな虹の掛かることが。

ふと気付けば、小さな公園のまん前。
何人かの子供たちが、砂場で輪になって…何か、相談ごとに夢中？

そう言えば。

そう…あの頃の、僕たちも。

みんなの家の近くの、変な形の公園。
ぼくたちは、ジャングル・ジムの上。
今日はこれから、何をして遊ぼうか？ なんて、相談の最中。

すると。
のばくんが、不意に。

『くる』

なんて？

ひっくり返りそうなほどに、頭の上の空を見上げながら。

なにが、くるの？
そのことを、ぼくがたずねる前に。

『なんだって？』
と？
まめたくんが、顔をこわばらせながら？

ぼくも、じゅりちゃんも、頭の上の青空を見上げる。

だけど…何も？

いや。

『くるね、まちがいない』
一つうなずいて、ぼくはじゅりちゃんを見る。

『こわいよ…どうしよう？ 』
怖がりのじゅりちゃんは、もう、涙目になっている。

『どうする？ 』
のばくんが、みんなを見回して。

『にし、だね』