【Prologue】セルコア

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特に階級制度による人民の格差は激しく、ワンディーに分類された者だけが発言権を持つ。ワンディーがこの世界の運営を担い、あらゆる政治的な社会活動に(たずさ)われる。 また、世界の財産ーつまり資産(金銭、土地、エネルギーなどの財産)を保有できるのはワンディーのみに約束された特権であり、残りの4階級は与えられた財産で決められた生活をすることしか許されてはいない。つまり、搾取(さくしゅ)する側がワンディーであり、残りは搾取されるだけの労働力と言える。 そして、ワンディーはツーディーを支配する立場であり、当然ラスディーは全てのセルの最下層であるため(さげす)まれる。 一度(ひとたび)ワンディーに認定されれば、その3等親までの親族の生活は保証される。なので、ツーディーの誰もが自らの子供に英才教育を受けさせようと躍起(やっき)になり、親族一丸となって受験ーいわゆる12歳になると誰もが受ける「Cell Score(セルスコア)」に向けて取り組むことになる。 世界中の人民の死活問題となっているのが、エネルギー問題である。 2000年代に早くも枯渇(こかつ)が問題視されてきたエネルギーであったが、2050年にもなると深刻なエネルギー不足により、人々の生活レベルは一気に低下した。残り少ないエネルギー資源の確保に、世界中が躍起になって、その確保に奔走(ほんそう)した。 当然、エネルギーを巡る争いは絶えなくなり、エネルギーは表立っては勿論(もちろん)のこと、裏の世界でも活発に取引され、違法薬物などよりも危険なものとして扱われていた。 エネルギーを生み出すことができる者は、即ワンディーに認定される。
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