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「なんだ? また呼んでみただけか?」
「違う。――恋人いる?」
「なんだそりゃ」
「――いないの? そもそも」ニヤと笑って、「いたことある?」
「今は」俺は答えた。「いない」
「今は? ずっとの間違いじゃなく?」
「昔はいた」
「ほんとに?」
「ほんとさ」
「ふん……きれいな人?」
「ああ。最高さ」
「あたしより?」
「もちろん」俺は即答し、イダは笑った。
「ふーん」
「信用してねえな」
「ふふん」
「……俺と同い年で、おまえなんかよりずっとグラマーだった。でも、それは出るべきところが出てるって意味で、体つきはおまえよりも華奢かな。それに――」俺は言葉を探し、結局、
「――詩人だった」
彼女は鼻で嗤い、俺は押し黙った。
じゃあ、いったい、あのコのことを、他にどんな言い方をすればいいんだ? そう、俺は思う。どう呼べばいい? あのコを呼ぶ、他にどんな言葉があると言うんだ?
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