汚れた十二月

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「あと」しばらくして、打って変わって事務的な声を、イダは出した。「どのくらい?」 「十分」俺は答えた。「もうそこだが、道が入り組んでる」  言いざま俺はシェヴィを狭い路地に押し込んだ。路地の中は灯りが必要なくらい、暗くなっていた。ヘッドライトの光の中に、ぼろ雑巾みたいな猫と、同じくらいの大きさにネズミが逃げていくのが見えた。それがなんなのか、考えたくないような物が通りに散乱していて、雨はまだ降っていないのに、石畳は汚水で濡れていた。痩せぎすの老婆に罵声を浴びせられ、イダが中指を立てて応じた。 「腕、あるんだな」無表情に俺を見ると、彼女はポンチョの中に腕を引き戻した。
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