そこに壁が在った…

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 今から5百年ほど前のこと……  中南米にギロンという国があり、グラタという村があった。  実にのどかな村で、住んでいる人々も、おだやかそのものだった。  が、その村には、中程を横切るように、非常に高い(かべ)が、そびえ建っていた。  その前では、よく人だかりが出来ていて……  色々と予想する会話が、交わされていた。  壁の向こうを推測する話を、色々とかって放題していた訳で…… 「多分、向こう側は海だよ」 「いや、俺は山だと思うぞ」 「この壁は、そうとう厚そうだよ……」 「こんな所で考えていても、どうにもならないな……」  しかし……何の手掛かりもなく、いつか夜になると、それぞれの住まいに帰っていった。
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