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出会いの季節
生徒会室にはもう明かりがついていた。
コンコンコン、と軽やかにノックする。
部屋の中から「どうぞ」と返事があった。
落ち着いたアルトの声だ。と、いうことは……
「失礼します──こんにちは、杉本先輩」
ドアの向こうにいたのは、やっぱり杉本先輩だった。
でも振り返ったその顔は、どこか不満そうに見える。
「──ミキちゃん。これでも私、この間から一応生徒会長なんだけど」
杉本先輩が少し拗ねたような声で言った。
「……! そうでした、杉本会長」
美希は慌てて言い直す。
そうなのだ。少し前に生徒会選挙があって、杉本先輩は生徒会長に立候補し、そして見事当選したのだった。
といっても、実際に行われたのは対立候補のいない信任選挙だったけれど。
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