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廊下を歩きながらそんな話をしていると、向こうから見覚えのある5人が近づいてくる。
「やあやあ。相変わらず暇そうで羨ましいよ、君たち」
「それほどでも」
厭味なほどに金髪を揺らしながらまたしても厭味を言ってくる男、芥子乃。
特別親しいわけではないが、年齢が同じくらいなのにこうして全く逆とも言える役職のためか、何かあるといちいち突っかかってくるのだ。
だからと言ってそれを全部相手にするようなことはないのだが、面倒臭い。
「君たちみたいな税金泥棒を、どうして未だに労働させているんだろうね」
「芥子乃って名字変だよね。俺だったら恥ずかしくて人前に顔出せないや」
「おい、変人に変っていうな」
「奎、それはフォローになってない」
「伯馬は自分で自分のこと、白馬の王子様なんて言うんだぞ。めちゃ恥ずかしい奴なんだぞ」
「廉也、それもどうかと思うぞ」
「お前等クビにするぞ」
「芥子乃さん、って言った?生憎、俺達は俺達で雑用っている大事な仕事があるんでね。白馬の王子なんて冗談を言える暇もないくらい忙しくて・・・ぷっ」
「りゅうちゃん、笑っちゃ可哀そう・・・ぷっ」
「白馬の王子ってことは、お前かぼちゃパンツでも穿いてるのか」
「ゆっきー、真面目な顔でそういう面白いこと言わないでね」
「・・・・・・」
少しだけ頬を引き攣らせた芥子乃に、典人が宥めるように言う。
「相手にする必要はない」
「・・・ああ、そうだな」
自分たちから喧嘩を売ってきたというのに、芥子乃たちは、というよりも芥子乃だけが少しだけ恥ずかしい思いをして終わった。
すれ違う時も、特別相手の顔を見るわけでもなく、肩をぶつけるという子供じみたことをするわけでもなく、大人の対応を見せる。
「さて、これからが楽しみだ」
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