第三音【D.C.】

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 そこは、女性がいる孤児院の敷地を示すためのもので、フェンスは高さが約3メートルほどもあるため、小さな子供がここを越すことは難しいだろう。  しかし、フェンスの一部が浮いていることに気付いた。  何だろうと思ってよく見てみると、フェンスの下にはまるで犬が掘ったような穴があり、そこからなら子供1人くらい簡単に抜けられることが分かった。  いつ掘ったものかは分からないが、きっとここから外へ出てしまったのだろうと、女性は子供を探しに出かけることにした。  近くの警察に子供がいなくなってしまったことを言うと、そこから本部へと連絡がいき、すぐに返事が返ってきた。  子供は本部で保護されているとのことだった。  「ありがとうございます」  女性は急いで迎えに行くと、元気そうに遊んでいる子供が見えた。  すぐ傍には3人の男たちがいて、女性を見ると子供の引き取り手かと聞いてきた。  子供も懐いているからか、何かの書類に署名をすると、簡単に返してくれた。  「もう迷子になるなよ?」  「うん!!」  橙色の髪の毛をした男に頭を撫でられると、子供は女性の手をしっかりと握りしめ、笑顔で手を振った。  孤児院に戻ると、子供たちが遊んでいる間にフェンスを直し、それから子供達の夕飯の支度を始める。  みんなで一緒にご飯を食べている子供達もいるが、女性は幾つかの食事を持って、部屋の奥へと歩いて行く。  そこは少し薄暗い場所で、個室になっている。  中にいたのは、錘がついた鎖が首に繋げられている子供がいて、扉の下の方についている小窓のような場所から食事を中に入れる。  「いい子にしているのよ」  それだけを言うと、女性はその場を立ち去って、再び子供たちの前で優しくなる。  14時半ごろになると、扉が数回叩かれた。  女性が出てみると、そこにはあの電話相手だった男が立っていた。  「なんでしょうか」  女性がそう尋ねると、男は偉そうに上から目線でこう答えた。  「ガキはどこだ」  「・・・・・・」  女性が何も言わずにいると、男は中の様子を窺う様にして首を動かす。  中に子供がいることを確認すると、女性にこう言った。  「状況が変わった。ここにいるガキを全員俺達が管理する。すぐに引き渡せ」  「何を急に」
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