第三音【D.C.】

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 子供を引き取りに行った時にいた3人に逃亡させてもらい、廃屋のような場所に辿りつくと、そこに留まることにした。  「実は、子供を引き取りに来たあと、尾行したんだ」  「え」  「でも芥子乃たちが現れて、子供を連れていった。子供たちは何をされてるんだ?研究所のこと、知ってるんだよな?」  3人によると、あの男たちとは仲間というわけではないようで、ただ子供本当のことを教えてほしいと言われた。  研究所で起こっていることもだいたいは知っているが、ちゃんとは知らないらしい。  女性は迷ったものの、話すことにした。  「なずき、と言います」  最近子供達がいなくなるという事件が起こっていた。  まるでそれは誘拐事件のようにも思えるがそれとは全く異なり、神隠しのようなもので。なずきのもとにいた子供たちがその子供たちだという。  「連れてくるって、一体誰が」  「あの芥子乃とかいう人と、その仲間かと」  「なんで子供を?」  動物は小さい頃からの躾によって、大きくなってからの抵抗も無くなる。  それと同じで、子供の頃から洗脳・それに伴った調教と行うことで、子供が逃げないという状況を作りだそうとしているらしい。  まずは子供を集めて手懐けたあと、研究所へと移動することになる。  「研究ってのは、あの化物と関係してるのか?」  「・・・そう」  研究という名目で行われているのは主に、人外生物と人間の間の遺伝子操作。  まずは、互いの血液を交換することから始まったらしいのだが、なかなか成果が出ない。  そしてその人外生物というのが、人間が大好物らしく、研究途中にも関わらず人間を食べてしまうことがある。  だからこそ、より多くの人間が必要なのだが、大人よりも子供の方が肉が柔らかく、その人外生物の好みだそうだ。  だから、食べられてしまう子もいれば、なんとか食べられずに研究材料として扱われる子もいる。  どちらにしても可哀そうなことなのだが、そんなことあの男には関係ない。
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