第三音【D.C.】

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 ずっと会いたかったその首を抱きしめていると、機械を操作する音が聞こえてきて、そして、男たちが入ってきた。  しかし、そんなことどうでもいい。  こう言ってしまってはいけないのかもしれないが、子供たちがどうなってしまうとかよりも、人外生物がどうなってしまうとかよりも、今こうして、自分の腕の中にその首がある喜びの方が大きかった。  「なんで中にいるんだよ・・・!?ここに入るには、俺達の指紋や声紋が必要なんだぞ!?研究所の奴らだってそう簡単には出入り出来ねえはずだぞ!!」  「芥子乃、落ち着け」  「そうそう伯馬。俺達の方が有利ってことには変わりないわけじゃん?」  芥子乃を宥めようとする典人と宗良だが、一方ですでに銃を構えている水墨と出又は、こう言った。  「廉也、変人は単純なんだ。有利っていったら調子に乗るだろ」  「碧羽、お前もさっさと銃を構えろ」  「・・・わかってるよ」  水墨の言葉に、少しだけ不機嫌そうに言いながら銃を取り出す。  同じようにして、芥子乃も銃を構えるが、宗良だけは銃よりも拳が得意らしく、メリケンサックをつけた拳を見せる。  しかし、拳だと間合いを詰めなくてはいけないから銃を構えろと出又に言われて渋々準備していた。  「お前等、もう一回抹殺してやるよ」  「それは愉しみだ。そのまま返してやるよ」
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