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第四音【Ο+ Coda】
「誘拐事件だ!たぬき!お前らも行くんだよ!!」
「えー、なんで?俺達忙しいのに」
「うるせえ!!さっさと来い!!」
隣の部署の人にそう言われ、文句を言いながらも誘拐事件の雑用に来た3人。
言わずもがな、碧羽と紫崎、そして柑野の3人なわけだが、いきなり狩り出されたことに面倒臭がっていた。
雑用として呼ぶくらいなら、庶務や事務の人を呼べば良いのでは、と思う前に、自分達でそれくらいやれ、と思うようなことをさせられると分かっていたから。
警察はすぐに動き出し、犯人からも電話があった。
すれ違いざま、男たちとぶつかる。
「あぶね。廊下は走っちゃいけねぇよ」
「うるせえ!こっちは子供がいなくなったっていう電話が何本もあって大変なんだよ!」
「あ?」
その男たちは、誘拐事件の捜査本部とは別の方向へと走って行った。
「なんだあいつら?誘拐事件の部屋って、あっちだよな?」
柑野が別の方向を指さしながら、隣で歩いている碧羽と紫崎に尋ねれば、放っておけと言われてしまった。
捜査本部に到着してしばらく、3人は思っていた通りの雑用をさせられており、2度目の犯人からの電話があったときも、特に捜査に参加するということもなかった。
どうやら犯人は車と金を要求しているようで、それを準備する時間などを聞いてきたらしい。
そこで、こんなこともあった。
誘拐されているのは一体誰なのか。
どこの親からも警察の方には連絡が来ておらず、また、女の子が誘拐されたと場所付近を捜索し、近所に聞きこみもしているそうだが、一向に見つからないと言う。
パート帰りの女性によって通報された誘拐事件だが、被害者が分からない。
捜査員たちがあたふたしている間も、3人はのんびりと腕時計の話をしたりと、至ってマイペースだった。
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