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翌日の10時半ごろ、誘拐犯から再び電話が入る。
緊張が張り詰める空気の中、1人の捜査員が電話に出ると、落ち着いた感じの誘拐犯から車と金は用意出来たか、という確認のものだった。
この電話によって逆探知が成功し、犯人は移動しながら電話をしていることが分かった。
捜査員たちは、車と金が用意できたことを報せると、犯人はそれを受け取る場所と時間を指定してきた。
この犯人からの電話が来た時、紫崎は捜査本部に自分のパソコン一式を持ちこんでおり、それでとある調べ物をしていた。
柑野が腹が減ったというから、仕方なくお昼を食べに行き、戻ってくる頃にはすでに金と車を渡しに行くところだった。
犯人と思われる男が確保されると、3人は納得いっていない様子で自分達の部署へと戻ろうとしたのだが、その時芥子乃たちに絡まれてしまい時間ロス。
男は麻薬の売人で、車に金が置いてあるから、それを持って代わりに麻薬を置いて行け、という内容の電話があったらしいが、男の所持品からも部屋からも、電話は見つからなかった。
誰から電話が来たのか聞いてみても、名前なんていちいち聞かない、とのことだった。
ちなみに、車が爆発したそうだが、幸いにも怪我人はいなかったとか。
「恭久、巧、ちょっと頼まれてくれるか」
「なに」
「りゅうちゃんってば人遣い荒いよね」
紫崎に頼まれて、碧羽と柑野は動き出す。
そしてそれから2時間も経たないうちに戻ってくると、まずは柑野が話し出す。
「借りて来たよ、防犯カメラの録画。こんなに借りてきて、全部調べる心算?」
「んー、まあ」
「今朝、逆探知した場所の近くのアパートで、男が死んでるのが見つかったって。ドアが開いてたから管理人の人が部屋の中に入って、遺体を確認したらしい」
「そうか」
「それにしても巧」
「何?」
「なんだ、その子供は」
戻ってきた柑野の手には、小さな手が握られていた。
どうやら迷子になっているところを保護されたらしく、柑野が面倒を見てくれと頼まれてしまったようだ。
「よくね?なんか男だらけでむさ苦しいから、こういう可愛い子がいても問題ないだろ?」
「問題は無いけど、何処で寝かすんだ?巧が連れ帰るならいいぞ」
「・・・・・・今日はみんなでここで寝ようか!!」
そんなこんなで、3人はそれほど広くは無い自分たちの部署にあるソファに寝そべることになった。
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