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翌日の10時ごろ、電話が鳴り出てみると、交番からのもので、孤児院から1人子供がいなくなってしまったというものだった。
容姿や服装などを聞いて、柑野が連れて来た子ではないかと思うと、そのことを伝えた。
すぐに迎えに来るということだったので待っていると、黄土色の短い髪の毛をした女性が現れた。
ショールのようなものを肩からかけているため分からないが、首の部分と右目の部分は包帯を巻いているようだ。
少しだけ怪しいとも思ったが、子供がとても懐いているし、虐待などをされている雰囲気も無かったため、必要書類に署名をしてもらい、そのまま帰ってもらった。
しかし、なんだか気になった。
「恭久、巧」
「わかってるよ。行こう、ゆっきー」
「その呼び方いい加減止めてほしい・・・」
女性の後を付いて行くと、ぽつん、と佇んでいる孤児院があり、そこに入ると他の子供たちが女性を歓迎した。
「おい、あれ・・・」
そのとき、碧羽は気付いた。
子供達の首には、犬がつけるような首輪がつけられていたのだ。
ちりんちりん、と鈴もついており、まるで何処にいてもわかるようにしているようだ。
女性は子供たちを引き連れて孤児院の中に入って行くと、昼食の準備でもしているのだろうか、良い匂いが漂ってきた。
その後外遊びなどをしている子供たちを他所に、女性は子供が抜けだしたであろう穴を1人で埋めていた。
「ゆっきー、腹減らねえ?」
「知らん」
「ゆっきー、自分が空腹かどうかもわからないってこと?大丈夫?」
「黙れ」
「ひっど」
14時半ごろ、あの男がやってきた。
「来たぞ」
「あーあ。りゅうちゃんのお察しの通りってことね」
孤児院に現れたのは芥子乃たちで、数回ノックをすると女性が出て来た。
そこで何やら話をしているようだが、何を話しているのかは分からない。
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