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しかし、こちらには来ていないと言われると、もしも戻ってきたら連絡を寄こすようにと言われて、そのまま一方的に切られてしまった。
勝手にかけてきて勝手に切るなんて失礼な男だとは思うが、特にそれ以上話すこともないため、受話器を置く。
「・・・・・・」
電話を顎に数回当てて何かを考えている様子の芥子乃は、何を思ったのか、部屋を出ると食堂へ向かってカツ丼を食べたらしい。
芥子乃から仕事を任された男たちは、それぞれの仕事へと取りかかっていた。
おやつの時間を過ぎた頃、誘拐事件の方は犯人から電話があり、お昼頃に交渉したはずの車と金の用意がまだ出来ていないのかという文句の電話があった。
犯人が指定した車を用意していたのは、宗良という男だ。
「よっしゃ。これだけ積んでおけば大爆発間違いなしっしょ」
ふー、と額に汗を流しながら何をしていたのかは、良い子の前では絶対に言えないが、爆発物の設置だ。
彼の靴には特注で作らせたスパイクがついており、手にはメリケンサック。
なぜこのようなスタイルになったのかは分からないが、それが宗良という男なのだと理解するしかない。
「伯馬に連絡・・・典人の方がいいか?ま、どっちでもいいか」
結局典人にした宗良は、任務が終了したことを報せると、典人は特に褒めるでもなく、労うわけでもなく、ただただ「ああ、そう」とだけ言って電話を切った。
もっと何かあっても良いじゃないかと、もう一度電話をかけてみるものの、すでに電源を切られてしまっているのか、それとも本当に一瞬で電波の届かない場所に行ってしまったのか、通じる事は無かった。
肩を落としながらも、宗良はめげずに本部へと戻る。
その頃、別の依頼を受けていた水墨という男は、自作の特別なセキュリティーシステムを使って何かを調べていた。
すると、ワイヤレスの耳にかける電話がかかってきた。
「・・・何」
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