演劇部のための奮闘記

まず学校で・・・

「よし、じゃあこれがクラブ入部用紙。上の枠に書いてあるクラブから入りたいものを選んで下の枠に書き、提出しろ。締め切りは一か月後。それを過ぎたらクラブに所属しないことになるから気をつけろ。」

そう言って一枚の紙を配ると、担任の育式英【いくしき　えい】先生は面倒くさそうに教室をでていった。

顔も怖いし厳しい育式先生が担任だとわかると、クラスの大半は不満の声をあげ、「担任交代！」の看板をかかげてデモを起こしたり校長先生に直訴したりする人もいたくらい。

でも結果的には、

「不満があるならちゃんと言ってみろ。」

という育式先生の言葉にすべてがおさまった。

え？私？

うん、確かに育式先生が担任だっていうのはすごく嫌。

でも、クラブのことを考えると先生のことなんかどうでもよくなっちゃう。

……これ聞いたら、先生怒るだろうな。

でもとにかく、それほどまでに楽しみにしてきたクラブ活動。

先生のことは忘れることにして、私は紙の上の枠をみる。

あれ？

目をこすり、もう一度見る。

……ない。

ちょっと、ウソでしょ？

もう一度よーく見る。

一つ一つ、丁寧に。

でも、やっぱりなかった。

コンピュータクラブ、マラソン・リレークラブ、アウトドアスポーツクラブ、水泳クラブ（冬などは鍛練）、歌・演奏クラブ、科学クラブ、ダンスクラブ、調理クラブ、イラストクラブ。

九個あるクラブの名前をじっくり見て……私は絶望した。

演劇部が、ない……。