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 電話を切って改めて室内を見渡す。この部屋に時限爆弾? 今どき? 私の留守中にお父さんが部屋に忍び込んだことは考えにくい。わざわざ娘を爆死させるのに、長野から東京まで出てくるなんて手間がかかりすぎる。  ならばこの部屋に引越をした、三年半前のあの日に仕掛けたのか。業者に頼むほどの荷物もないし、と引越は両親と私だけで(まかな)った。知り合いからトラックを借り、積み込める荷物だけを長野から運搬した。あの日に、私にバレないようにこっそり時限爆弾を仕掛けたのか。  いやわかっている。実際に爆発するあの爆弾ではないだろう。きっと何かの比喩なのだと思う。折しも私の置かれている環境は今、制限時間ぎりぎりのような状態だ。ということは、そろそろ爆発するかもしれないものを私が抱えていることを、お父さんは注意喚起しているのかもしれない。
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