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 駅前にある中古ゲームショップを、一年ぶりに訪れていた。一年前、知り合いのツテでネット放送局のゲーム番組から声がかかり、レギュラー出演をするようになった。ほとんどゲームをしなかった私は、大急ぎでこの店を訪れ、最新のゲーム機を中古で購入した。  そして今日、同じ店に、同じゲーム機を持ってやってきている。ゲーム番組の打ち切りが告げられたからだ。もうゲームをすることはないし、部屋に置いておいても仕方がないので、ゲーム機は下取りに出すことにした。三万円ほどで購入したそれは、一万円ちょいで私の手を離れた。  正直、経済的な余裕はない。  上京した当初は、時給の良い夜の飲食店でバイトをしていたが、舞台の本番が近づくと稽古に時間を割かれる。シフトを入れづらくなることが度々あったので、共演者の紹介で個人経営のスナックで働くことにした。看板には「ガールズバー」と書かれているが、店構えは昭和だし、ママは五十路(いそじ)だし、どう考えても「ザ・スナック」といった感じのお店。
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