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そして、無事成功すると、今度はライオンのページを開いた。
目の前に本物のライオンと寸分違わないライオンが現れた。
ライオンも他の動物と同じく、少年の姿は見えないようだ。
少年は十分にライオンの体の構造を確認すると、ライオンを本に押し込もうとしたが、重すぎてうまくいかない。
なので、ライオンのページを開いたまま、ライオンにぶつけてみた。
結果は大成功。
無事、ライオンは本の中に納まった。
翌日・・。
気分を良くした少年は、『飛び出す動物図鑑』を持って学校に向かった。
授業中に熱帯魚を出す。
教室の中をプカプカ泳ぐ熱帯魚を見て、騒ぎ出す生徒達。
「授業中に何を騒いでいるんだ?!」
と、黒板に文字を書いていた講師が、生徒達を振り返って言った。
少年は慌てて熱帯魚を捕まえ、図鑑に戻した。
「貴様が原因か?」
教師は少年の事を良く思っておらず、その時も、少年の事を真っ先に疑った。
「貴様、ちょっと来い」
教師に呼ばれ、前に出て行く少年。
この教師に叱られるのは慣れっこだったが、ちょっと思い知らせてやろうと言う気持ちがあり、少年は図鑑を持ったまま前に出て行った。
「貴様と言う奴は・・」
教師が少年を前にしてブツブツと言い出した。
『また始まったよ・・』と思い、ため息を吐く少年。
「おい!聞いているのか!?」
教師が叫んだ。
少年はイラっとして教師を睨んだ。
「何だ、その態度は?ああ?!」
教師も少年を睨み返した。
生徒達は息を呑んで何が起こるかを見守っている。
(そろそろ黙らせてやるか)
少年がふいに図鑑のページを開いた。
ライオンのページだ。
すると、少年の背後にライオンが現れた。
「な・・何だ!?」
教師は驚いて後ずさりをした。
教室の生徒達も、皆が教室の一番後ろに避難した。
ライオンは教師を睨むと、身体を低くして、戦闘態勢に入った。
この時、少年はおかしいと思った。
ライオンは自分達を感知できないはずだ。
にも拘わらず、ライオンは教師を感知して、襲い掛かろうとしている。
まずい!!
少年がそう思った瞬間、ライオンが教師にとびかかった。
「うわっ!!」
教師はライオンに押し倒された。
鋭い爪が、教師の顔に食い込み、血が飛び散った。
少年は慌てて図鑑のライオンのページを、ライオンの頭に乗せた。
すると、ライオンは霧のごとく消え去った。
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