あやかしかしまし ～丑三ツのひとり酒～ 第二夜 きつね

第二夜 きつね

　夕方の商店街てエのは活気があっていいね。

　この時期、日の入りも早いし、そっから日が暮れる迄も早い。
　まだ明るかったと思ったら、何時の間にかもう真っ暗。みたいな事も多い。
　だからオレンジ色に染まった町の様子が見られる時間も僅かなんだが、その短い時間に町が息づいて活発に動いてるのを見るのが好きなんだ。
　もちろん、見てるだけじゃねえよ。

　仕事柄遅くまで部屋に籠もり切りになる事も少なくないが、空いてる時間がありゃあ、日のあるうちに買い物に出る。
　コンビニもベンリだが、商店街のざっかけない雰囲気が好きなのさ。

　狭い道筋の両側に肉屋だの八百屋だの豆腐屋だのが軒を連ねて賑わっている。
　クラブ活動やらなにやらで下校が遅くなった中学生や高校生、遊びから帰る小学生なんかもたまにゃあ見かけるが、子供は色んなもンが揃ってるコンビニの方が慣れてるからみんなそっちに行っちまう。だから客層は大半が主婦だ。
　さて、そこで、その「スーパー」だ。

　この近所にも大手のチェーンスーパーがあって、そっちも繁盛してる。
　いや、て言うか、そのスーパーが出来てからこの商店街の客が取られ気味と言った方が正しいかな。何でも揃ってて、流通大手の強みで値段も安いと来りゃあ、誰だって利用する。
　かく言うオレも最近はけっこう利用してるよ。

　でもな、持ちは持ち屋と言うじゃねえか。
　確かに押し並べるとスーパーは安い。でも専門店には専門店のいいところがある。