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報酬を持って探偵事務所に戻ったハルナはケインに報告する。
「そ、そう。ペット探しなんて探偵初心者にピッタリの仕事だからさ、ちょうど良かった。」
ケインは咳払いをしながら報酬の封筒をしまい、机のファイルを取り出した。
「今取り掛かってる案件があるんだけど、ちょっとこじれちゃっててね。ハルナちゃん、やってみる?」
こじれた案件を初心者に任せるのか、とハルナは内心苦笑したが、笑顔で
「はい!やってみます!」
とファイルを受け取った。
椅子に座ってファイルをめくる。
依頼者は男性で、魔法使いである妻の浮気の証拠を掴んでほしいという内容だった。
「これのどこがこじれてるんですか?」
書類を見ていたケインが顔を上げる。
「いやぁ…。それがさ、奥さん尾行してたらバレちゃってね。警戒されちゃって、なかなか尻尾を出さないんだよ。ハルナちゃんなら面割れしてないし、上手くやってくれないかな。」
「分かりました。」
ハルナは依頼者と妻のスナップ写真を眺めた。
仲良さそうに笑っている。
「この奥さんが、依頼者以外の男性と一緒にいる写真を撮れば良いですか?」
ケインは笑う。
「ただ一緒にいるだけじゃダメだよ。ちゃんと決定的な場面を撮ってよ。」
「えっ、た、例えば?」
「だからさー、キスしてるとことか、出来ればホテルとか家に出入りしてるとこがいいね。
奥さんも魔法使いだからね、気取られないよう気をつけてよ。」
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