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ロアはユーカの考えている事を正確に見抜いていた。
「カラヤは正式な魔法省職員ではない。
ただの高校生バイトだ。」
「分かってます…。
なので、今は民間からの依頼に限定してます。
今回も、華やかな場に行かせるのは心配でしたが、お面かぶるような仕事ばかりも可哀想で。」
「しかし、依頼内容が大雑把過ぎたな。
終始和やかな雰囲気で、つつがなく、か。
癖のある出席者が多かったし、犬猿の仲と噂のある政治家同士もいたからな。
何かあればコトだ。」
「フロアスタッフに紛れ込ませた職員に聞いたら、ずっと和やかで幸せな雰囲気だったそうですよ。
・・・何もしなくて良かったって。」
ユーカの口調には棘があった。
ロアは苦笑する。
「そいつ…とんでもない職務怠慢だな。無能か?」
「いえ、恐らく出る幕がなかったんだと。
カラヤちゃんが魔法使ったことにも気付いてないと思います。
それにしても、両家にとって今日は最良の日になったでしょうね。」
「ま、大枚はたいて依頼してきた価値はあっただろう。
カラヤにも、そのうちちょっとは還元してやるか。」
…バイト代どうにもならないって言ってたのに。
ユーカは首を傾げた。
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