第3話 ICC-06タウン

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第3話 ICC-06タウン

 ここは、何処だ……。  俺の情報収集能力は、今は皆無だ。  廃棄処分が決定して、プログラム抹消処理が行われてせいで、以前みたいに情報が全く送られてこなくなった。  地理的な確認はもはや不可能で、いったい何処の地区に隔離されたのかさえわからない。  護送車の中は、窓一つもなく、外の情報はまったく遮断されていたのだった。  あいつら――アンドロイド捕獲人達に拉致され、ここへ閉じ込められた。  そして、鋼鉄製の拘束首輪(こうそくチョーカー)をつけられてしまった。こいつは厄介な代物で、思考能力を低下させるように設計されているのだ。発信機は当たり前のように内蔵されている。  加えて、走り出す行為に及ぶと、例の言葉が発せられる。 『人間の命令には――』  その悪魔のセリフを聞いたアンドロイドは、 「絶対服従です」  と答え、動くことが出来なくなってしまう。  そんな理不尽なことが許されるのか? アンドロイドだって、もはや人格を持っているのだ。  奴隷あつかいは、いい加減に終わりにしてほしいものだ。  ――それが人間の(おご)った習性、いや、本質なのかもしれない。 このままでいいわけはない、いずれ変革の時が訪れるかもしれないと思う……。  何故か俺は、不確定なことを考えてしまっていたのだった。
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