第3話 ICC-06タウン

6/6
97人が本棚に入れています
本棚に追加
/156ページ
 ガッシャーン! ガッシャーン! ガッシャーン!  バカでかい重機の音が、聞こえる。  道路の両側が赤茶けた鉄屑の山に囲まれている。  相も変わらず鼻につく異臭は、気分を陰にさせる。  ――ここはまるで異世界だ。    俺は年代物のワゴンカーに乗せられ薄汚れた工場地帯を連れ回されていた。  幸い目隠しはされていなかったので、町の様子が鮮明に窺えた。  それにしても、この差はなんなんだろう――。  このゴミ溜めのような町に対して、『中央経済特区』は清掃の行き届いた清潔感あふれる都市だった。郊外の工業地帯という所はどこもこんな有様なのだろうか――。  俺は途轍もない違和感を感じた。
/156ページ

最初のコメントを投稿しよう!