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「ユイナ、そいつの手錠を外してやれ」
俺の拘束首輪をレーザー銃で切断したヤツに言った。
――ユイナって、女の名前だよな……?
さっきまでしていた黒い覆面を外した顔は、まさに女だった。それも、まだ十代じゃないかと思えるほど、若くて可愛かった。
しかし、彼女は、またもレーザー銃を俺の手首に向けていた。
「ゲッ、止めろっ!」
といった矢先に、左手首に凄まじい痛みが走った。続いて、右手首にも同じ激痛を感じた。
「ウギャーア!」
俺は悲鳴をあげた。
「相変わらず、大げさな兄さんだ」
彼女はニヤっと笑った。
俺の両手首は、首や足首と同じように焼け焦げた。
すでに、着ていたスーツは袖口も裾もボロボロに焦げていた。ワイシャツにいたっては、ネクタイ共々形を成していなかった。
「商品にあまり手荒なことするなよ」
顎鬚男がこっちを振り向いて言った。
――やはり、どこかに売られるんだ。
「おや、これは……」
再びモニターを見た顎鬚男が怪訝な表情になった。
「お前、廃棄ものだな。何度も修理した痕がある。――いや、なんだあ? 初めてみる構造だ。新型……なのか、お前?」
――新型? 俺がか?
「ふむ、数回、再生されてるぞ。くわしく調べるみる必要があるな――横になれや」
俺は、痛みに堪えながら仰向けになった。
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