第2話 逃亡ランデブー

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第2話 逃亡ランデブー

 地下高速道路は混雑していた。  所々、照明は停電しているようで、道路標識は確認出来ない箇所があった。  俺達は取りあえず郊外に脱出すべく、行く先を『ICC-06タウン』へとセットしていた。  地上は猛台風で、建物が崩壊している様子だが、ここは大丈夫そうだ。  幸い通信機能が麻痺しているおかげで、自分達が探知されにくくなっている。  迷わず、郊外へと車を進めことにした。  車の走行自体は正常なのだが、センサー機能が少し鈍い感じがする。よって、車自体がおかしくなった時は、俺自ら運転をすることになるだろう――。  彼女は――、三木亜季子と名乗った。今は助手席で、ずっと前を見つめたままだ。  こうして見ると、かなりの美人で、端正に整った顔立ちをしていた。時折、車外から入ってくる街灯で、長い黒髪がやわらかく光った。  今、彼女は眠っている――。  しかし、彼女の瞳孔は開いたままだ。  もしかすると、彼女もまた、一部機能を停止させられたのかもしれない……。
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