純白の独白

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純白の独白

酷いとこに産まれた。 最悪だ。 学校ではイジメられ、レベルの低い奴に合わせなきゃいけなかった。 家では厳しく教育、あぁ嫌、私は私を捩じ伏せられ、親の人形として育って来た。 「貴女の為」 「貴女を愛しているから」 親はよくそう言った。 私立中学、私はそこで思い知った。レベルが低いのは私だった。 私は頭が良いだけの人…なのにそれすらも失った。 私には、何もなくなった。ただ、 「死にたい」 私に初めて意思が宿った。自分の、誰に言われるでもない、意思。 晴れやかな気分だった。秋の空みたいな清々しい気分だった… 「死にたい」、なんて甘美な響き! そうだ、私は親の物ではない! 私は次の日から頑張ろうと思った。 こんな幸せな夜はなかった。 それなのに。 紅が私に話しかけてきた。 「ねぇ、キミ」 キミって人を呼ぶ人を初めて見た。でも、彼女には合っていた。 「何?」 「その手首、隠した方がいいよ」 世界が暗くなった気がした。バレた。このままこいつは私の母に言うつもりだ、そうしたら私は、私は…。 こいつの口を塞がなきゃ。そう咄嗟に思った。 そこから仲良くなるのに時間はかからなかった。何を話したのかなんて覚えてない。 私は人と話すのは嫌いだ。 なのに、ここまで仲良くなるなんて、不思議だった。ただ、私には都合が良い事だった。 「好き」 紅にそう言われたのはそれから半年後ぐらい。 女どうしなんて、考えた事ないし、そもそも恋愛なんて親が許さない。 私はよく理解できないまま、紅のいつもと違う目が怖くて、走ってそこから逃げた。 次の日紅に会うと、いつもと変わらない紅だった。 優しくて、明るくて、正に良いヒト… そんな彼女は、私を愛してる… 私は、転校する。 理由なんて、親にイジメられたとか言えばどうとでもなる。 とにかくここから…離れたい。 逃げるんじゃない…私の意思ではなれるのだ。 私は紅に告白した。嫌いだ、と。
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