第6章 新たに降臨した魔の者

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殺戮を繰り返す魔物と化した河原謙瑞、その姿は先頃、京の都を地獄と化した魔の者、湯水幸彦、本田保志、吉川雅美らが長州藩邸で大暴れ、長州藩士らを次々に殺害、その殺戮は京の都全体へと波及、天皇が京から逃れ、京にあった会津、薩摩、長州、土佐などの中心とした各藩の軍勢で鳥羽伏見にて迎撃態勢まで取らせた大事件、それを思い起こさせるモノであった。 それほどの大事件となり、畿内を再び戦慄の世界へと戻したのである。 河原謙瑞の目に止まった者は、誰であろうと問答無用に殺害し続けるというモノで、女、子供でも殺害した。 その殺戮は、腰の太刀を抜き、太刀へと自らの気を伝え、河原謙瑞が太刀を振るうと、太刀から鋭く気功波が放たれ、どんなモノでも真っ二つに切り裂いたのである。 そんな河原謙瑞の前に父の河原謙鑚(カワハラ ケンザン)、兄の河原謙丞(カワハラ ケンジョウ)、弟の河原謙昂(カワハラ ケンゴウ)が姿を現した。 河原謙瑞の前に父や兄弟が姿を現したのには、理由があり、無論の事であるが、藩命で河原謙瑞と共に京、大坂にやって来ていた同僚から、国許へ知らせが届き、河原謙瑞の所業が以前、畿内で暴れ回った者たちに似た、鬼、悪魔な魔物の所業であるという事、河原謙瑞の前に出て、父親や兄弟が訴えかければ、正気に戻るのではないかという事、これを受けて、父、兄弟が河原謙瑞の前に姿を現したのである。 だが……。 青石、通称ブルーストーンを手にした者、究極の力、潜在能力の覚醒、これらを手にする代わりに、その身体と心を青石に潜む魔物に奪われ、それまでの記憶を失ってしまう。 そのため、例え父、兄弟が河原謙瑞の前に姿現し、邪悪な鬼、悪魔の所業を止めるように訴えかけても、無駄な事である。 河原謙瑞は迷う事なく、目に前に姿を現した父の河原謙鑚、兄の河原謙丞、弟の河原謙昂を、手にする太刀へと自らの気を伝えて、太刀を振るい、父親と兄弟を真っ二つに切り裂き殺害、その手にかけたのである。
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