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だがそれ以上にお父さんを特徴付けるのは、彼が重度のアイドルオタクであるところだろう。
写真集等発売されたものは何であれ積極的に購入していて、お父さんの仕事部屋には同じ収録内容のアルバムが何枚も並び、壁には綺麗なお姉さんのポスターがいくつも飾られている。
この部屋には壁を埋める大きな本棚が設置されていて、僕とお兄さんの共同部屋が狭いため僕が愛読する図鑑などの大半はこの部屋に置かせて貰っているのだが、入るときはいつもどぎまぎしてしまう。
扉を開いた瞬間から、どこに目を遣ってもアイドルの誰かとは目が合ってしまうのだ。特にお気に入りのアイドルは「アキたん」と「ユウナたん」らしく、本を取りに行けば十中八九この二人とは目が合うようになっている。
お父さんのスマホの待ち受けは家族を差し置いて「アキたん」の笑顔、着信音やアラーム音は「ユウナたん」がソロで出している代表曲という徹底ぶり。それを趣味として許しているお母さんが、お父さんからは慈愛に満ちた聖母に見えるだろう。
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