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「僕は皆も知っての通り、地球人の皮を被って彼らの生活に紛れ込み、彼らの生態を日々調査しているわけだけれど、まぁ、僕としては、最近になってようやくその紛れ込み具合もさまになったと感じているところだ」
オドは惑星探査を行う組織の研究員だ。今の彼の仕事は、地球という惑星に生息する人間と呼ばれる生物の、文化の研究だ。
「日本という国の学生についてもかなり詳しくなったと思う。彼らのコミュニティにも馴染めているはずだ。だからこそ、今回のようなコンタクトを受ける立場になれたんだと思う」
オドは鼻息もらす。
「それで、この紙袋を君に渡したのはどんな人間なんだ?」
オドの向かいの席まで近寄ってきた仲間の一体が問いかけた。
「日本の学生は授業を受けた後、学生同士で集団を作り、趣味的な活動をする。それを部活と言うんだが、僕もそれに属している。その同じ部活の学生からもらったんだ。」
「ということは、その紙袋の中身はその部活とやらに関係のあるものなのか? オド、今、趣味的活動といったが、今君が属しているのはなんの活動をする部活だった?」
フロイケが尋ねる。
「電機機器をデジタル信号によって制御する術を探求する活動だ。プログラミング部という」
オドは眉根を寄せ考え込む顔をした。
「そこの上級生が帰り際に僕を呼び止めた」
「つまり、これは地球人からの贈り物なんだろう? 一体なんなんだ?」
「まだ中身を確認していないんだ」
「なんで確認しない」
「家に着いてから中を見るように言われた」
オドの仲間たちは顔を見合わせた。
「それは……君以外の誰かに、あるいは同じ部活の人間たちに見られたらまずいから、ということか」
「つまり秘密の贈り物ということになるな」
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