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ケンさん、という人がどんな人かをちょっと、知ってしまったことも、わたしの胸に締め付けるような痛みをくれた。
胸が、苦しくて、痛くて。わたしはどうして、こんなに涙出るくらい、哀しいんだろう。
キャンパスは二年前のあの時と同じ、風に舞う桜の花びらに彩られているのに。
ああ、あの時とはちょっぴり違う。二年前のあの日辺りを染めていたのはソメイヨシノの淡いピンク色だったけれど、今、満開の花を見せてくれるのは、わたしの心を染めるのは、目に沁みる八重桜の艶やかな桃色だった。
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