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そう言って鈴音は職員室に向かって歩き出した。
僕はその足音が聞こえなくなるのを確認すると。
「……久しぶりの鈴音からのチョコか……」
受け取った箱をニヤケ顔で見つめていた。
「開けるべき……なのかな?」
もしかしたら職員室に行くのは中身をすぐに食べてほしいけど目の前で食べられるのは恥ずかしいとかそういう理由とか?
……いや、ないな。アイツに限って。
確かに見た目はめちゃくちゃ可愛いし周りには優しいけれど僕に対しては優しくないからな。
「ま、そうは言っても開けちゃうんだけどね」
本命じゃないとわかっていてもチョコというのは嬉しいものだ。
しかしそんな僕の甘い考えは次の瞬間に撃沈していた。
それもそのはず、チョコかと思っていた箱の中身は……。
「ハズ……レ……?」
絶妙な重さを出すために入れられていた『バレンタインは甘くない』という小説とハズレと書かれた紙だった。
「くそー! またハメられたぁ!!」
思わず投げ出しそうになるのをグッと堪える。
せっかくチョコを貰えたと思ったのに……。
「あー、テンション下がる……」
さっきまでウキウキしていた反動もあって疲れがドッと来た。
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