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「そのポーズ、いつかどこかで見た気がしますわ」
と思ったら今まで大人しくしていた女の方が食いついた。なんだなんだ。実は気づいてたけどまだ半信半疑だから言い出せなかったパターンか。
「春野、知ってるのか?」
「ええ……そうですわ。確かクラスメイトでした“夜御寺影郎さん”が印を結ぶ時のポーズですわ」
……? いん?
「ああ、そうそう。微妙に違うけど確か夜御寺君が忍術を使う時にやってたポーズに似てるね」
忍術て……そんなイタいやつクラスにいたのかよ。
「夜御寺君かぁ。元気にしてるかなぁ」
「漆黒斎の野望を阻止したあと忍者の里に帰ったんだっけ?」
「あの時は大変だったよね。学校に夜御寺君の命を狙う刺客が次々現れて」
「そーそー。おれ達みんな危ない目に遭ったり幻術をかけられたりクラス中パニックだったねー」
当時、学校を休みがちで思い出が少ない俺は当然訊ねた。
「あ、あのう……。さっきからみなさん、なんの話をしてるので?」
「ああ、佐衛門三郎君は当時学校に来てなかったから知らないよね」
「私達のクラスメイトに夜御寺君っていたの覚えてる? 実は彼、忍者の末裔だったの」
に、忍者ぁ?
「それまで正体を隠して生活してたんだけど、世界征服を企む漆黒斎って悪い奴が現れてな」
「みんなを守るため正体を明かして戦ったんだよ。あの時は本当にビックリしたよね」
嘘だろ……。そんな漫画みたいなことが起こってたまるかよ。もしそうならニュースになってるだろ。
「あ、このことは俺達3年3組だけの秘密だから内緒にしててくれよな」
バレてないのかよ。この情報社会の現代で。その漆黒斎ってやつも世界征服を狙ってたわりに影薄すぎだろ。
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