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中学二年のバレンタイン
二月十四日の朝。
携帯で、
「佑君(ゆうくん)。すぐ空港に来て!」
って言われた。
「今日、学校だけど・・・」
ムダって分かってたけど遠慮がちに言った。
「だから?」
一言だけ!
なにも言い返せない。
「佑君、自分では電車に乗れないから、タクシー頼んでおいた。
もうすぐ家の前に来る。空港着いたら電話して」
一方的に話し、一方的に切れた。
学校に、
「親戚に会いに行くので・・・」
って連絡した。
タクシーはすぐ来た。後部座席に座る。
猛スピードで空港に向かう。窓の外の光景。めまぐるしく変わる。
中学二年のバレンタイン。
結局、最後の最後まで振り回された。
葛城ゆかり。(かつらぎゆかり)
幼稚園からの幼馴染。
家が近くでいつも一緒に遊んだ。
スポーツ万能。気が強い。
勝手に予定決めて僕を従わせた。
遊びのルールもゆかりが決めた。ルールは途中でしょっちゅう変わった。ふたりでゲームして、僕が勝つなんてなかった。
登下校も一緒。必ず荷物持たされた。
中学。
ゆかりは吹奏楽部に入った。自動的に僕まで入った。
一応、遠慮がちに拒否したんだけど・・・
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