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   僕と音葉が出会ったのは、二人してまだ着慣れない制服に袖を通していた、そんな頃だった。   「う、わぁっ、」  バンッ!!  静かな空間に僕の情けない声と、段ボールを支えようと伸ばした手の音が派手に響き渡る。  放課後の人気(ひとけ)の少ない旧校舎の階段。そんな場所に人がいるとは思わず、僕は危うく持っていた荷物ごと人にぶつかるところだった。いや、ぶつかるだけならまだしも、最悪巻き込んで階段を一緒に転がっていたかもしれなかった。 「……」  階段から落ちずに済んだ安堵と、いきなり目の前で弾けた大きな音と、そして何より誰もいないと思っていたところで人に出くわした驚きで、僕の心臓はバクバクと大きな音を立て、僕の口は言葉を失ってしまった。 「大丈夫?」  僕が落としかけた段ボールを正面から両手で支えたまま、丸い大きな瞳が眼鏡越しに心配そうに僕の顔を覗き込んでいる。 「あ、す、すみません。だ、大丈夫です」  僕はそう言ってなんとか持ち直そうと試みるが、一度バランスを崩した荷物は簡単には元に戻せなかった。 「あ、えっと……」
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