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そして、耳から聞こえる君の声に、その遠くなってしまった君の声に、何度でも絶望する。
こんなにも体の奥まで君の声は響くのに、僕の指先が君に触れることはもうないのだろう。
甘く囁く声よりも、小さく笑う君の声が好きだ。
胸を貫く力強い声よりも、呆れたように怒る君の声が聞きたい。
どんなに多くの言葉で彩られる歌詞よりも、たった一言「朋也」と僕の名前を呼ぶ君の声が欲しいんだ。
冷たく硬いスマホの画面よりも、体温を感じる柔らかな君の肌に触れたい。
耳に直接届かなくてもいい、手を伸ばしてやっと届く距離でいいから、君と一緒にこの空気を吸い込みたいんだ。
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