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やっと自分のロッカーを見つけてほっと息をついた。周りには既にグループ化しつつあるクラスメートたちの輪がいくつもできていた。
何人か挨拶に来てくれたけれども、気付いたら1人で立ち尽くしている。
どきどき、と胸の鼓動が速くなっていく。焦っているらしい。
クラスメートの輪に入れないからだろうか。
もやもやして服の裾をきゅっと握りしめていると、背の高い男子が2人、どっと入ってきた。
「なに、何で断ってんの……」
「だって、おれじゃなくてもよくないか、普通に……」
彼女の横でロッカーを探し始めるので、彼らも同級生なのだろう。
今、片方が彼女ににこっと笑って挨拶してくれた。「おはよう」と。しかしもう一方は何も見なかったかのように、ロッカーを探してふらりと歩き出して行く。
彼女に挨拶してくれた男子はまた、ロッカーを探す男子を追って行った。
「おかげでおれが原稿考えてって色々やってんだけど」
「いいじゃん。そういうのを厭わないなら。よほどスピーチにうってつけだよ」
スピーチ。その単語が彼女の中に引っかかった。
「何で、でも1番に声かけられたのお前なんだろ?」
「そうなのかな。とにかくお断りだよ。何でよく知らない人たちの前でそれなりにいい感じのことを話さないといけないんだ」
冷めた言い方。おまけに嫌な感じ。
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