両親

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家には80代の祖母ナオがいた。父の明夫は建築関係、母の徳子は印刷業、彩子は看護師でナオが日中、1人でいることが多かった。糖尿病で徳子が昼食を準備しても食べない時もあり低血糖で、救急車で病院へ運ばれることもあった。彩子が小さい頃、徳子は仕事をしていたのでナオに面倒をみてもらっていた。今回、結婚を徳子に反対されているとナオに話したら「私みたいなのがいるから心配で彩子にいてほしいんじゃないの?」って言った。一応 、彩子は看護師だから。実際、救急車を呼んだのは彩子だった。結婚って、自分だけが変わるのではなく、家族も変わってくるんだって改めて思った。ちなみにナオは結婚には賛成してくれた。ナオは、「母さんが反対しているって言ったけど、私の前では孫が出来たって喜んでいたよ。」と話してくれた。その話を聞いて彩子は「母さん、ごめん。」って心の中で謝っていた。そして、何故か泣けてきた。 そんな事を思いながら、彩子は入籍までは実家で暮らしていた。徳子の話をしてくれたナオは、誰かが見ていないと低血糖になるため、仕方なく老人保健施設に入所させた。施設に空きがなくて、限界近くまで家で暮らしていたナオだったが、そのナオを徳子が仕事をしながら介護をしていた。勿論、彩子も手伝っていたが、後になってからナオに排泄の失敗があった事を知った。徳子が他の人に知られないように、こっそり始末をしてくれていたのだった。徳子はナオを施設に入れた事を悔やんでいた。だから毎週、面会に行った。彩子も毎週、一緒に面会に行った。彩子の彼も一緒に行ってくれた。その様子を見て徳子は彩子の結婚を許してくれた。はっきり許すとは言わなかったが、徳子の表情が穏やかになり彩子の身体を心配するようになった。きっと、ナオの事で疲れていたんだって彩子は思った。
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