両親

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明夫はナオが施設に入った事は徳子の為には良かった事だと思っていた。ナオは明夫の事を あまり良く思っていなかった。昔気質の明夫はナオに何か言われても自分の考えを変えず、それがナオには面白くなかったのだ。そんな2人の間で徳子は苦労していた。「母さん、かわいそうだな。」って思ったけど、徳子の怒りの矛先が彩子に向く時があった。そんな時、彩子は我慢したけど、本心は皆んな仲良くして欲しいと思っていた。明夫は、お酒が好きで飲み過ぎる事もあった。彩子が子供の頃、肝臓を悪くして家で唸って寝ていた事があり、そんな姿を見るのが彩子は嫌だった。仕事がうまくいかない時もあり、明夫には悪い印象しかなかった。その頃、彩子の理想の父親像は俳優の山本 学だった。穏やかで上品で、あんな お父さんが良かったなって思った。おそらく、徳子も そういう夫が良かったんじゃないかって。たぶん、ナオもそうだと思った。そんな明夫が今回、ナオを施設に入所させる為に頑張ってくれた。ナオの身体と徳子の心を思っての事だった。 明夫は時々、「ばあちゃんを施設に入れるのに難儀した。」と話していた。順番待ちで、先が見えず、待っている間にナオに何かあったら大変だからと気が気でなかったそうだ。ナオに嫌われていた明夫だったが毎週、明夫も一緒に面会に行った。何を話すわけでもなく ナオのそばに座って帰るという感じだった。
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