結婚までの生活

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結婚までの生活

祖母を施設に入れると心配の種が1つ消えて徳子は自分の仕事と家事だけになり生活に少しだけ、ゆとりが出来たようだった。勿論、家事に関しては彩子も手伝っていた。食事は徳子が作っていたが、洗い物は彩子がやっていた。但し、夜勤意外に。 彩子が洗い物をしていると、時々 徳子が見ていて「水を流しっぱなしでやるなんてもったいない。」と言って「こうやって、ここに水をためて。」と洗い方の指導がはいった。「せっかく手伝っているのに、いちいちうるさいなぁ。」彩子は口にはしなかったが、そう思っていた。 たまにテレビで節約についてやっている番組を見るが、徳子がやっていたようにしていたのを見る事があった。「へえ、やっぱり 母さんの言う通りだった。」徳子に言われても素直に受け入れられないがテレビでやっている事は非常に素直に受け入れる。彩子は徳子の言う通りに洗い物をした。それを見て徳子はきっと自分が教えた通りにやってると満足げだった。あっ、洗い物の順番まで、徳子は教えてくれた。汚れのひどいものはペーパーで拭いてからとか、ご飯茶碗は浸しておいて最後に洗うとか、本当に細々と教えてくれた。 よく考えると結婚の話しが出てから口うるさくなったように思う。それまではガチャガチャ洗い物をしていても何も言わなかった。彩子が嫁に行くのを反対していた徳子だったが、いざ決まってしまうと娘を外に出しても恥ずかしくないように教育をしてくれていたのだった。その様子を見ていた明夫は特に何も言わず見守っていた。たぶん母と娘のやりとりを「あと少しで、見れなくなるんだな。」って思いながら見ていたに違いない。
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